2024.01.04
コロナウィルス感染症が昨年落ち着き、
日常が少しずつ戻りはじめたころから弊社へ問い合わせと相談が増えたのが
本コラムでは実例を交えてその背景と
お客様のご要望内容を踏まえて
メリット・デメリットについても
まとめていきたいと思います。
・ 資材高騰による新築住宅の価格急騰
・ 土地価格の上昇と利便地の減少
・ 実家の空き家化や将来の実家の空き家化への懸念
コロナ禍の中ウクライナ危機が発生したことも相まって建築資材が高騰しました。
その結果、住宅の取得価格は2割から3割上昇することになりました。
住宅の価格が高騰したことにより、担保価値との釣り合いが取れず、住宅ローンの負担増と担保価値の乖離の影響が強くなりました。
また、住宅ローンの金利上昇の不安等も重なり新築住宅の取得に対して悪い影響が重なっています。
弊社でも新築住宅の建築を行っていますが、住宅ローンの支払いを極限まで組む傾向もある為、お客様の事を考慮してご説明をするようにしています。
路線価としては大きな上昇は生じていませんが、土地の販売値については利便地の減少もあってコロナ禍前から上昇し続けていました。
新築の購入を検討される方の多くは希望条件のかなう土地を探されます。
また、その条件の多くは他の土地購入希望者も同じ事が多い事もあって競争になります。
需要が高く供給の少ない土地はやはり高額となってしまっています。
土地の価格が高いこともあって、より担保価値との乖離が進み住宅ローンが難しくなっています。
『実家が空き家になる』または、『将来的に空き家になる可能性が高い。』
そう答える方はとても多く居ます。
先ほどの土地のお話では土地価格が上昇している理由を記載しましたが、
空き家が増える時代には反対に空き地が増えていく事にも繋がります。
その為、土地を焦って見付けるではなく、時間をかけて探すことをお勧めしています。
今焦って土地を郊外で探してもその土地の周りには空き家が増える可能性が高い為です。
同じ様にご実家が空き家になる事を不安に感じている方も多いのです。
「実家が利便性が高い立地にある為継承したい」
または「住み慣れた故郷に住みたい」
と考える方も多くいます。
ご実家リフォームについてメリットとデメリットを並べるには、
その建物自体を知ることが必要になります。
また、建物をリフォームする費用ついては誰の建物で誰が負担するのか等複雑であり、
実例を交えてお話しするのが分かりやすいかと思います。
《建物の調査結果》
・延べ床面積127㎡(約38坪)
・昭和58年築(新耐震以降築)
耐震診断結果は 0.42 と基準を大きく下回っていたが、
補強計画で1.0程度まで引き上げる事が可能なことが分かり、費用負担も小さかった。
・断熱は当時のグラスウール・シングルガラスのアルミサッシの為、断熱気密共に低い状態
・ところどころに雨漏りの跡があるが、修繕済みであり、現状雨漏りは無かった。
・相続前であり、相続に対しての対処から必要だった。
・その他に大きな腐朽やシロアリの被害は無かったが、小屋裏にネズミや蝙蝠といった侵入の形跡があった。
(上記については先代が駆除済み)
《初期対応でのメリットデメリット》
・相続が必要であり、その他の相続権利者と協議が必要
当該物件の場合、他の権利者が売却を望み、所有権をまとめるため買取が必要だった。
・耐震診断結果が悪く、強度に不安が残る為費用を少しでもコンパクトにまとめる事が必要だった。
※ 震災などで倒壊するリスクが比較的高い為、地震保険とのバランスを検討し、リスク管理した上で費用を確定
・土地は利便性が高く、住み慣れた土地だが建て替えの費用は難しく、リフォームならリスクバランスで1500万程度と確定
・相続の事もあり、相続時の所有権の移転費用なども考慮が必要だった。
・立て直しなら3000万は必要となったが、リノベーションで希望がかない1500万の費用でおさまった。
・住宅ローンも短く組むことができ、老後に残らない設定が可能だった。
・将来の高齢期を踏まえた設計を行い、終の住まいとして40年近くの利用を検討できた。
(長期利用では設備の更新や外壁塗装等の必要性が生じるが、配管等も新設を行い今後のメンテナンス負担を最小化)
《工事内容で見るメリットデメリット》
・耐震性について
耐震性の引き上げの為全体的に工事を行う必要性があった。
費用を抑えるため、一部の壁は天井や床を壊さず補強する工法の選択などが必要だった。
・断熱気密について
同様にすべてを行うには費用負担が大きすぎるため、工事個所で出来る中での断熱計画を行った。
1階LDKは全体を断熱気密施工を行い、1階の和室は天井と床を断熱工事
2階は天井裏の断熱を行った。
ユニットバスは高断熱の浴槽を利用し、リビング周りの断熱を良くすることでヒートショックが起きにくい間取り設計を行った。
・窓の断熱工事について
2023年の補助金の枠が大きく、全体の窓の改修に70万円の補助金が得れた。
(設備・断熱等、全体を通して100万円程の補助金を取得)
・費用内でデザインにしっかりとこだわれた。
弊社デザイナーと繰り返し3次元内で調整し、満足いくお住まいへとリノベーションができた。
《工事内容》
・ 1階LDK・トイレ・洗面等水回りの総リフォーム
・ 1階を既存DKを間取り変更して1室まとめLDKへ(補強工事込み)
・ 和室畳をフローリングへ(東農ひのきの無垢フローリング)
・ 窓を1階・2階全体的に断熱補強(サッシカバー工法や内窓等)
・ 2階寝室をリフォーム
・ 1階・2階でリフォーム時可能な箇所を断熱化
・ 住まいを全体的に耐震化(1.0へ引き上げ)
・ 外壁塗装
《工事結果》
まずご実家リフォームをスタートするのに一番の問題が誰の所有で誰が支払いを行うのか。
所有権者が建物の改修費用を出さない場合、所有権者への贈与がみなされ高い贈与税を支払うことになりかねません。
また、住宅ローンを組む際に所有権が無いと住宅ローン減税を受けられない等、
通常新築時に建てる時に考える必要がないことを考えなければなりません。
問題としては難しいことも多いので弊社の場合は、
弊社の顧問の税理士も交えて問題に対して対処方法を考え、場合によっては税務署へ確認を取っています。
また、所有権の主張には登記が必要となる為、司法書士への相談も必要となります。
これらの問題の解決と並行して建物調査(耐震診断・既存建物状況・改修時の法規)を行っていきます。
建物の痛みが激しいなど、高い費用を投資して行うに難しい状況のお住まいもあります。
その場合は修繕が可能なのか、火災保険や地震保険のバランスを考慮して最適なリフォームの選択をする必要があります。
建物(住まい)にはポテンシャル(潜在能力)があります。
そのポテンシャルをどこまで引き上げるか等も併せて設計する事が重要です。
調査・設計・工事の総費用と住宅の担保価値や保険のバランスを整えたうえで着手する事をお勧めしています。
弊社で実行したご実家リフォーム・リノベーションでは、デザインにこだわり満足していただけたお住まいへと作り直した事例が多くあります。
その後の住宅費用が無理ない設定ができる事例も多く、しっかりとした計画が重要と言えます。