2016.04.04
「透湿防水シート(とうしつぼうすいシート)」というものをご存知でしょうか。
透けるの透、湿気の湿、防ぐの防、水と考えればイメージが湧きやすいかと思います。
透湿防水シートとは、水は通さず湿気(水蒸気)を透すシートのことで、外壁仕上げの下に貼ります。
なぜ水は通さないのに湿気(水蒸気)は通す必要があるのでしょうか?
水を通さない⇒外壁仕上げの中まで侵入してしまった雨水をブロックし、柱などの木材が腐るのを防ぐ
湿気(水蒸気)は通す⇒室内で発生した湿気が外へ逃げられるようにし内部結露が起こるのを防ぐ
以上の点から、透湿防水シートはこのような性能を持つのです。
具体的な透湿防水シートの施工ポイントをご説明します。
1.下から上へ貼っていく
2.しわが出来ないようにする
3.タッカーを打ちすぎない
4.かぶせをしっかりとる
5.雨水が侵入しやすい箇所やピンホールの施工の方法に注意する。
1.下から上へ貼っていく
雨水は基本、上から下に流れ落ちますよね。
透湿防水シートは少しずつ重ねながら施工するのですが、その順番によって大きく効果が変わってきます。
もし、下の紙が上の紙よりも手前になっていたら、隙間から雨水が簡単に浸入してしまいます。
水の流れを考え、上の紙が手前に来るように下から順に上へ上へと透湿防水シートを貼っていく事で、雨水が侵入しないようにしています。
透湿防水シートの重なる部分のことを「かぶせ」といいます。(詳しくは4で説明いたします。)
↑写真をご覧ください。上のほうが手前に来るように貼られています。
2. しわが出来ないようにする
透湿防水シートを貼る際にしわが出来てしまうと、そこで雨水の流れが滞ってしまいます。
そうすると少しずつでも雨水が浸入する可能性があるので、スムーズに雨水が流れるようしわを作らずに施工していきます。
3. タッカーを打ちすぎない
タッカーとは、断熱材などを固定するときなどにも使用するホッチキスのようなものです。
やはり、小さかろうと、透湿防水シートに穴をあけるのには変わりがありません。
雨水が侵入する可能性を少しでも減らすため、必要以上に打たないようにしています。
4. かぶせをしっかりとる
1でもお書きしましたように、かぶせは、防水に関して重要な項目の1つです。
かぶせが少ないともちろんそこから雨水が浸入する原因のひとつになってしまいます。
そのため、規定数値以上は必ずかぶせなければなりません。
(上下かぶり90mm以上)
出隅などの角部は150mm以上(友建では300mmかぶせで施工)
5. 雨水が侵入しやすい箇所やピンホールの施工の仕方に注意する。
ピンホールというのはタッカーを打った時などに出来る小さな穴の事で、タッカーの打ち方が悪かったりするとピンホールが出来ます。そうなってしまった場合は必ず、その上から防水テープを貼って穴を塞ぐ必要があります。
また、窓廻りをはじめ、入り角、出角になってくる場所は雨水がかなり浸入しやすい箇所となっています。
そのため、そういった箇所には、専用の防水材を使用し、防水性を高めています。
緑色の材が、窓の下に使用する専用の防水材です。
これらの決まり事はかなり細かいことですが、一つ一つ必ず意味があって存在しています。
皆様の安全と快適な暮らしを守るために、どんな小さなことでも見逃すことは許されません。
私達かかりつけ大工は小さなビス一本釘一本にも必ず意味があって存在しているといことを常に頭に入れ、施工の意味を理解しながら施工しています。
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